【2018年5月31日】

パリ=シャルル・ド・ゴール空港(CDG)に到着したのは現地の早朝4時頃。通関してから空港内のブースで一休みです。売店で清涼飲料水をひとつ買って、まずは一息つきました。

7時を過ぎ、国内便に搭乗するため空港内バスで移動。空路でフランスを一気に横断しスイス国境近くのユーロポート・バーゼル=ミュールーズ空港(MLH)へ飛ぶ便に乗るのです。
バーゼルはスイスの町で時計見本市で有名ですから、空港もスイスにあるものとばかり思いこんでいました。ところがMLHはフランス国内なんですね。

乗り込んだ機体はAirbus A320-200。主翼端に大きなウィングレットがあるタイプのA320には初めて搭乗します。

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乗客は外国人(というか「外国人」は自分たちの方ですが)現地ヨーロッパの人たちばかり。国際線の客の手荷物と微妙に違い、コンビニ帰りのような袋を下げた人もいたり、家族連れのにぎやかな話し声が聞こえたりで生活感があって、いかにも"足"の国内線の雰囲気がありましたね。
私の直前の席にはフランス人の若い家族が座り、2~3歳とおぼしき子が座席越しに私をじーっと見つめていました(笑)。

右舷主翼後方の窓際で、眼下の光景を楽しんでいるうちに、あっという間にMLHに到着。


到着後、添乗員のTさんが空港内のレンタカーブースで移動用のクルマを借りる手続きを済ませた後、プールに移動し借りたクルマに乗り込みます。
クルマはオーストリアナンバーの黒のFiat Ducato。このクルマが、今回の旅の相棒となりました。

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【コルマール】

空港を出てすぐにオートルートA35に乗り、今日の宿泊先エーグイスハイムに向けて北上を始めたのですが、まだチェックインには早い時間のため2、3箇所寄っていこうということになり、まずコルマールに行くことにしました。

コルマールの町に入り、クルマをシャン・ド・マルス公園の駐車場に停めて、歩いて市街地へ。

モンターニュ・ノワール広場という少し開けた場所には銅像と噴水があり、あたりはたくさんの観光客でにぎわっていました。
(この旅行の目的が油彩制作のためのスケッチと撮影なので、後々役立つようにとなるべく人が映らないように写真を撮ってます)

広場に面した一軒の店の二階から、アジアとおぼしきTV局のクルーがたくさんおり、眼下を撮影していました。
先日NHKニュースの話題でも取り上げられていましたが、中国でコルマールが舞台になっている人気テレビドラマがあるんだそう。
そのロケ撮影のようでしたfranceinfoの映像ニュース(22:48から)
このドラマのおかげで、たくさんの中国人観光客がコルマールを訪れるようになったそうです。


広場の噴水では二人の女の子と散歩中のゴールデンレトリバーが水浴び中。可愛い(笑)。

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お昼過ぎ、たくさんの観光客が川のほとりのカフェにいました。

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Tさんの話では、近年のコルマールはすっかり観光地化してしまったらしく、絵になるポイントは少ないとのこと。
それでも、ロシュ川両岸に建ち並ぶ建物は、骨組みを外に現したまま間をレンガや様々な色の漆喰で埋めた構造がとても可愛らしく、華やかな雰囲気がありました。
川岸の市場にも入ってみましたが、店内にたくさんの人がいてちょうど高速道路の道の駅のような賑わいでした。
下の写真、左側が市場の建物です。

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【リクヴィル】

コルマールを少しの間見物した後、もっと"らしい"ところへ行こうと、リクヴィルへ移動。

リクヴィルは葡萄畑の中にある城壁に囲まれ、多くのワイナリーがある小さな村です。
特に、村の北側シュテックグラーベン通りは城壁に面した道路で、両側が駐車場になっていました。クルマを停めて、城壁の中ほどにある小さな門をくぐり、街中へと入ります。

村の中央を東西に貫く目貫通り(ジェネラル・ド・ゴール通り)は、役所から古い城門へ続く緩い上り坂で300メールほどの短さ。やっぱりとても小さいんですね。
それでも多くの観光客が歩いています。

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ぶらぶら歩いていると、あるパン屋の前の植木にちょっとした人だかりが。
何だろうと近づいてみると、お兄さんが「これこれ」と指さしてくれました。良く見ると枝の間に小鳥のひながいるようです。

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なぜひな鳥がいるのかはわかりませんが、ピチーピチーという鳴き声が可愛らしく、足を止めた観光客がしきりにスマホで撮影していました。

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目貫通りに直行する通りにはいくつも料理屋や宿があります。

他にはどんな店があるのだろうと歩いていると、目に留まったのは小さな土産物屋とおぼしき店。
窓枠と戸板には商品の人形やキーホルダーが並べられています。

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添乗員のTさんからは、くれぐれもスリや置き引きには注意と言われて身構えていたというのに、店がこんなのんきで大丈夫なのかな。商品をよく見ると、コウノトリのバッジはいかにもフランスっぽいけど、マトリョーシカがお土産品とは店主はロシア人なのかな?
いろいろ不思議な店でした。



城門の外側には、古の跳ね橋と思われる腕木が残る建物が。

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ここアルザス地方は、ある時代はドイツ領、ある時代はフランス領となった歴史があります。
小さな村や町単位でこんなふうに城塞化して、戦乱から自分たちの暮らしを守ってきたんでしょうね。

それだけに地方や地域へのアイデンティティが根強く、今でも、自らをフランス人ではなくアルザス人だと話す人も多いとか。
 


【エーグイスハイム】

リクヴィルの見物を終えた頃は夕方に差し掛かってきたので、今日の宿があるエーグイスハイムを目指します。エーグイスハイムは、コルマールの南西にある、同心円状の丸くて小さな村。ここもかつて城塞都市として発展したため、このようなかたちになったのだとか。

コルマール周辺には、ここと同様に○○ハイムという名前の村がたくさんあります。
そのいかにもドイツ語的な名前からも、アルザスはドイツ文化が色濃く残る地域だという感じがしますね。

下の写真は、エーグイスハイムの観光案内書の壁に貼られている看板。

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フランスは、結構昔から「フランスの最も美しい村」(Les plus beaux villages de France)という協会が認定制度まで作って、パリなどの大都市以外の全国各地の小さな村を観光資源として活用してきたんですね。
こういった方法は、東京・大阪・京都に集中している日本の観光を、もっと地方に拡大していくモデルになるような気がします。

到着した宿はLogis Hotel Colmar Vignes。
裏手の駐車場になんとか入り込んだら、旅の途中のドイツナンバーのバイクが数台ありました。どれもBMWのGS。今回の旅で、各地で見かけたバイクにはこのGSが多かったです。
高速道路・一般道・石畳・オフロード、様々な路面を快適に走れる万能型で人気なんだそう。
 

部屋に荷を下ろし、夜は近所のレストランで夕食。
でてきた小型のカメのようなポットに入った肉煮込み料理のそれはそれは旨いこと!
それに大きなグラスのピルスナーもため息がでるような旨さ。

レストランは現地の人で満員で、はじめに入るときはちょっと気後れしましたが、料理を楽しんでビールを飲んでいるうちに自分がここの土地に溶け込んでしまったようなアットホームさを感じました(酔ったせいかな)。